专利摘要:
生分解性合成血管移植片の開存性を増大させるための方法が提供される。この方法は、血管移植片および血管新組織形成の外向きの組織リモデリングを促進する、1つまたは複数のサイトカインおよび/またはケモカインを投与する工程を含む。開示される方法は、血管移植片の細胞播種を必要とせず、したがって細胞播種に関連する多くの問題を回避する。血管移植片移植の部位で、サイトカインおよび/またはケモカインの制御放出をもたらす生分解性ポリマー血管移植片も提供される。
公开号:JP2011509156A
申请号:JP2010542335
申请日:2009-01-08
公开日:2011-03-24
发明作者:セミス キリアキデス,;クリストファー ブレウアー,;ジェイソン ロー,
申请人:イェール ユニバーシティ;
IPC主号:A61L27-00
专利说明:

[0001] (関連出願への相互参照)
本願は、Christopher K.Breuer、Themis R.Kyriakides およびJason D.Rohにより、2008年1月8日に出願された米国仮特許出願第60/010,406号への優先権および利益を主張し、この米国仮特許出願の全体は、可能な限り本明細書中に参考として援用される。]
[0002] 本発明は、一般に、血管移植片、特に、生分解性ポリマー骨格から作製された血管移植片の開存性を増大させるための組成物および方法に関する。]
[0003] 政府支援
本発明は、NIH(National Institutes of Health)よって与えられた認可番号5K08HL083980の下での政府支援とともに行われた。政府は、本発明におけるある特定の権利を有する。]
背景技術

[0004] 心臓欠陥は、すべての出生のほぼ1%に影響している最も一般的な先天異常である。先天性心疾患(CHD)の治療における大きな進歩にもかかわらず、これは、新生児期における先天異常による死亡の主要原因のままである。CHDは、広範囲にわたって存在する無数の構造異常から生じる。単心室奇形(single ventricle anomaly)は、重度の生命を危うくする疾患をもたらす心奇形の最大の群の1つを構成する。単心室奇形は、互いに構造的に劇的に異なるが、2つの心室のうちの1つのみが、適切な機能的なサイズであるという共通の特徴を共有する心臓欠陥の群で構成される。単心室生理機能(single ventricle physiology)をもたらすいくつかの心奇形として、三尖弁閉鎖症、肺動脈弁閉鎖症、および左心室発育不全症候群が挙げられる。この群の先天性心血管奇形は、肺循環からの脱酸素化された血液と、体循環からの酸素化された血液との混合をもたらす。体循環を通じた脱酸素化された血液の循環は、慢性低酸素症およびチアノーゼ;俗称「ブルーベビー症候群」をもたらす皮膚の青みがかった変色を引き起こす。肺循環と体循環の間の血液の混合は、心室への容量過負荷を引き起こす場合もあり、治療されない場合、心不全に至る場合がある。未治療の単心室心奇形は、生後1年間の70%の死亡率に関連する(Samanek、Pediatr. Cardiol.、13巻:152〜8頁(1992年))。単心室奇形に対し選択される治療は、外科的再建である(Giannicoら、J. Amer. College Card.、47巻(10号):2065〜73頁(2006年);Petrossianら、J. Thorac. Cardiovasc. Surg.、132巻:1054〜63頁(2006年))。手術をしない場合、成人期への生存は普通でない(Hagerら、J. Thorac, Cardiovasc. Surg.、123巻:1214〜7頁(2002年))。]
[0005] 単心室生理機能を引き起こす心臓欠陥における劇的な構造的差異にもかかわらず、段階的外科的再建のための究極のプランは、実際にはかなり類似している。この一連の段階的な手術の目的は、体循環から肺循環を分離することである。これは、全身血流と肺血流の混合を排除し、全身の酸素供給を改善し、容量過負荷を予防し、したがって、システミックな心室(systemic ventricle)の容量の働きを正常化し、それによって心不全を予防する。これは、その心室が、体循環を通して酸素化された血液を送り込むように心血管構造を再建するように設計された、一連の段階的な手術を通じて実現される。次いで脱酸素化された血液は、肺循環を通じて受動的に循環され、そこでこれは酸素化され、心臓に戻される。このタイプの外科的手順は、フォンタン手術と呼ばれる。フォンタン手術は、これが1971年に最初に報告されて以来(Fontanら、Thorax、26巻(3号):240〜8頁(1971年))、いくつかの改変を経ている。フォンタン手術の、最も一般に実施される改変は、心外両大静脈肺動脈吻合法(EC TCPC)である。改良されたフォンタン手術は、単心室心奇形を有する患者の治療のための医療の標準とみなされ、これらの患者の質および長期間生存の両方を実質的に改善した。しかしこれは依然として待機的(非治癒的な)手順であり、かなりの罹患率および死亡率を伴う(Giannicoら、J Amer. College Card.、47巻(10号):2065〜73頁(2006年);Petrossianら、J. Thorac. Cardiovasc. Surg.、132巻:1054〜63頁(2006年))。フォンタン手術を必要とする患者における罹患率および死亡率の1つの重要な原因は、天然組織を使用することができない場合に、下大静脈を右肺動脈に接続するのに使用される導管である(Jonasら、J. Thorac. Cardiovasc. Surg.、117巻:688〜96頁(1999年))。FontanおよびKirklinが、フォンタン法を乗りきった患者の初期コホートの後期転帰を再調査したとき、彼らは、後期罹患率の多くは、導管の使用に関連した問題に起因し得ると結論づけた(Fontanら、Circulation、81巻:1520〜36頁(1990年))。理想的な導管は、まだ開発されていないことが広く認められている(Conte、FASEB、12巻:43〜5頁(1998年);Kakisis、J. Vasc. Surg.、41巻:349〜54頁(2005年))。ポリテトラフルオロ−エチレン(PTFEまたはGore−Tex(登録商標))導管は、現在、EC TCPCのために最も広く使用される血管移植片である(Petrossianら、J. Thorac. Cardiovasc. Surg.、132巻:1054〜63頁(2006年))。他の合成導管、またはそれどころか生物学的な血管移植片の使用も、文献に記載されているが、PTFEと比較してはるかに限られた程度である(Petrossianら、J. Thorac. Cardiovasc. Surg.、117巻:688〜96頁(1999年))。]
[0006] EC TCPCのために使用される導管についての長期間の移植不全率を記述するデータは限られているが、他の同様の先天性心臓手術のための弁付き導管および弁なし導管の両方の使用に関する長期間のデータは、広く利用可能であり、芳しくない(Dearaniら、Ann. Thorac. Surg.、75巻:399〜411頁(2003年))。後期の問題には、進行性の閉塞を伴った導管劣化、成長能の欠如、感染に対する感受性の増大、および血栓塞栓性合併症のリスクの増大が含まれる。合成導管および生物学的導管の両方が、これらの手術のために使用される。PTFE、およびDacronなどの他の合成導管は、成長能を欠き、患者が血管移植片よりも成長するとき、再手術を必要とする。合成導管は、大面積の合成材料が血液と接触しているために、血栓塞栓性合併症の重大な原因となり、これは、凝固カスケードの活性化を引き起こす(Petrossianら、J. Thorac. Cardiovasc. Surg.、117巻:688〜96頁(1999年))。同種移植片および異種移植片などの生物学的移植片を含めた、他の臨床的に利用可能な導管は、合成移植片と比較して、著しく低い血栓塞栓性合併症率と関連づけられるが、これらも成長能を欠き、石灰化による劣化および続発性の移植不全を加速する傾向により、残念ながら耐久性に乏しい(Stark、Peadiatr. Cardiol.、19巻:282〜8頁(1998年);Clevelandら、Circulation、86巻(補遺II):II150〜3頁(1992年);Jonasら、Circulation、72巻(補遺II):II77〜83頁(1985年))。これらの移植片は、狭窄する傾向があり、石灰化する。この過程は、免疫に媒介され、若年患者においてより攻撃的であるようにみえる(Karamlouら、Eur. J. Cardiothorac. Surg、27巻:548〜53頁(2005年))。基本的には、すべてのそのような導管は、最終的には交換される必要があると想定される(Bermudezら、Ann. Thorac. Surg.、77巻:881〜8頁(2004年))。再手術は、著しい罹患率および死亡率と関連づけられ、早期の術後死亡率は、最良のセンターにおいて約5%である(Dearaniら、Ann. Thorac. Surg.、75巻:399〜411頁(2003年))。これらの移植片についての早期および中期の結果は変わりやすく、5年開存率は65〜90%の間である。長期間のデータによると、10〜15年間で、70〜100%の間の移植不全率が実証されている(Jonasら、Circulation、72巻(補遺II):II77〜83頁(1985年);Peadiatr. Cardiol.、19巻:282〜8頁(1998年);Homannら、Eur. J. Cardiothorac. Surg.、17巻:624〜30頁(2000年))。移植不全の主要な決定要因には、サイズ(18mm未満の移植片において不全の率が増加し、15mm未満でさらに著しく悪化する)、および再手術(一次移植片が交換移植片より良好に機能する)が含まれる(Homannら、Eur. J. Cardiothorac. Surg.、17巻:624〜30頁(2000年))。自己組織が導管に使用されるか、または導管中に組み込まれる場合、最良の長期間の結果が得られ、長期開存率は80%を超えている(Bermudezら、Ann. Thorac.、Surg.、77巻:881〜8頁(2004年))。]
[0007] 自家移植片、すなわち個体の自身の(自己の)組織から作り出された導管は、小児心血管の外科的用途に現在利用可能ないずれの合成導管または生物学的導管より良好な長期間有効性を有する(Dearaniら、Ann. Thorac. Surg.、75巻:399〜411頁(2003年);Bermudezら、Ann, Thorac. Surg.、77巻:881〜8頁(2004年))。残念ながら自家移植片は供給が限られており、ほとんどの場合、合成導管または生物学的導管の使用を必要とする(Homannら、Eur. J. Cardiothorac. Surg.、17巻:624〜30頁(2000年))。合成血管移植片または生物学的血管移植片の使用により、自己組織を使用して実施された同様の手術と比較した場合、移植不全率が増加し、罹患率および死亡率が増加する(Jonasら、Circulation、72巻(補遺II):II77〜83頁(1985年);Bermudezら、Ann. Thorac. Surg.、77巻:881〜8頁(2004年))。]
[0008] 現在利用可能な血管移植片の使用から生じる合併症は、先天性心臓手術後の術後罹患率および死亡率の主要原因である(Jonasら、J. Thorac. Cardiovasc. Surg.、117巻:688〜96頁(1999年))。さらに、すべての現在利用可能な血管導管の成長能の欠如は問題である(Alexi−Meskishviliら、Eur. J. Cardiothorac. Surg.、18巻:690〜5頁(2000年))。導管よりも成長することを回避する試みで、オーバーサイズの移植片を使用することが広く行われている。患者の年齢が、IVCの直径が成人の60〜80%に近づく、2歳と4歳の間になるまで手術を延期することは、成人のサイズに近い導管(20〜22mm)の配置をしばしば可能にし、体細胞成長だけに基づく導管の交換の必要性を限定するが、移植片のオーバーサイジングは、合併症のリスクの増大に関連する(Alexi−Meskishviliら、Eur. J. Cardiothorac. Surg.、18巻:690〜5頁(2000年))。再手術の数を最小限にするために手術を遅らせることにより、容量過負荷および慢性低酸素に長く曝されるために、心機能障害または心不全にさえ至る場合がある(Petrossianら、J. Thorac. Cardiovasc. Surg.、117巻:688〜96頁(1999年))。さらに、最近の研究では、より早い年齢で手術を受ける患者において、体細胞成長における顕著な改善が実証されており、より早い年齢でのEC TCPCの実績についてのさらなる支持を提供している(Ovroutskiら、Eur. J. Cardiothorac, Surg.、26巻:1073〜9頁(2004年))。オーバーサイジングの上限は、固有の血管の約1.5倍のサイズであり、このサイズを超えると、オーバーサイジングは、実質的な負の血行力学的結果を引き起こす(Lardoら、J Thorac, Cardiovasc. Surg.、117巻:697〜704頁(1999年))。最近の研究では、導管のオーバーサイジングを固有の血管のサイズの1.2倍に制限することが推奨されているが、これは、オーバーサイズの移植片の使用に関連する血栓塞栓性合併症のリスクの増大が、導管の交換のリスクより大きいと考えられているためである(Alexi−Meskishviliら、Eur. J. Cardiothorac, Surg.、18巻:690〜5頁(2000年))。成長能を伴った血管移植片の開発は、この問題を排除し、先天性心臓手術の分野にとって劇的な意味を有する。]
[0009] 組織操作は、自己移植片を構築するためのストラテジーを提供し、それによって潜在的な自家移植片のプールを増大させる。古典的な組織操作パラダイムを使用して、自己細胞は、生分解性管状骨格上に播種することができる。この骨格は、細胞結合のための部位、および新組織(neotissue)形成のための空間を提供する(LangerおよびVacanti、Science、260巻:920〜6頁(1993年))。得られた新組織は、小児の心胸郭手術において使用するための血管移植片の作製などの再建的外科的用途のために使用することができる(Shinokaら、J. Thorac. Cardiovasc. Surg.、115巻:536〜46頁(1998年))。ヒツジおよびイヌ動物モデルの両方を使用した広範な大型動物研究により、静脈循環または肺循環において大きな口径の移植片として使用するための導管を構築するために組織操作法を使用することの実現可能性が実証された(Shinokaら、J. Thorac. Cardiovasc. Surg.、115巻:536〜46(1998年);Watanabeら、Tissue Eng.、7巻(4号):429〜39頁(2001年);Matsumuraら、Biomaterials、24巻:2303〜8頁(2003年);Matsumuraら、Tissue Eng.、12巻:1〜9頁(2006年))。]
[0010] 生分解性合成骨格を使用した多くの研究は、自己血管生検から単離された血管細胞を使用している。より最近の研究では、骨髄吸引物から得た自己細胞の使用が調査されている(Matsumuraら、Biomaterials、24巻:2303〜8頁(2003年))。動物試験の成功、および先天性心臓手術のための成長能を伴った血管移植片の開発に関連する大きな将来性に一部分基づいて、パイロット臨床試験が行われることによって、単心室心奇形を有する患者におけるEC TCPCのための導管として、組織操作された血管移植片を使用することの実現可能性および安全性が評価された(Shinokaら、New Engl. J. Med.、344巻(7号):532〜3頁(2001年));Naitoら、J. Thorac. Cardiovasc. Surg.、125巻:419〜20頁(2003年))。これまで、25のTEVGが、EC TCPCのための導管として移植され、7年を通じた経過観察を伴っている(Shinokaら、J. Thorac. Cardiovasc. Surg.、129巻:1300〜8頁(2005年))。組織操作された血管移植片は、移植不全の証拠を伴うことなく、十分に機能した。交換しなければならなかった移植片はなかった。死亡率に関係した移植片はなかった。合併症に関係した2つの移植片があり、これは、2本の小直径(18mm未満)導管において著しい狭窄の発生を含んでいる。第1のものは血管形成術を用いて、第2のものは、血管形成術およびステント留置術を用いて、両方とも順調に処置された。血栓塞栓性もしくは出血性の合併症、感染性合併症、または動脈瘤形成の証拠は、まったく報告されなかった。さらに、連続イメージングにより、これらの移植片の成長能が実証された。これらのデータは、この技術の総合的な実現可能性および安全性を支持する。]
[0011] しかし、自己細胞を用いた合成血管移植片をシードする方法は、多くの理由のために依然として問題である。第1に、それは、その臨床的な有用性を制限した、培養で細胞を増殖させるための相当な時間の必要性に加えて、侵襲性手順(生検)を必要とする。この手法はまた罹病したドナーから健康な自己細胞を得ることにおいて、固有の困難に直面する(Pohら、Lancet、365巻:2122〜24頁(2005年);Solanら、Cell Transplant.、14巻(7号):481〜8頁(2005年))。細胞培養の使用は、汚染のリスクの増大、および培養細胞の脱分化の可能性さえも生じる。ポリマー移植片をシードするための自己細胞の使用は、組織操作された血管移植片の在庫の(off−the−shelf)利用可能性も制限し、それによって、その総合的な臨床的な有用性を限定している。]
発明が解決しようとする課題

[0012] したがって、本発明の目的は、細胞播種を使用することなく、生分解性合成血管移植片の開存性を増大させるための方法を提供することである。]
[0013] 本発明の別の目的は、開存性が増大した、成長能を伴った生分解性合成血管移植片を提供することである。]
課題を解決するための手段

[0014] 生分解性合成血管移植片の開存性を増大させるための方法が提供される。この方法は、血管移植片の外向きの(outward)組織リモデリングおよび血管新組織形成を促進する、1つまたは複数のサイトカインおよび/またはケモカインを投与する工程を含む。ポリマー血管移植片は、管状多孔質構造であり、これは、移植片中への宿主細胞の動員および組込みを可能にし、リモデリングおよび血管新組織形成を媒介する。この血管移植片は生分解性であり、これにより、移植片が分解するにつれて、新組織を形成することによって、移植片が完全に置き換えられることが可能になる。この方法は、血管移植片の細胞播種を必要とせず、自己細胞を得るための侵襲性手順の必要性、培養で細胞を増殖させるための相当な期間の必要性、罹病したドナーから健康な自己細胞を得ることにおける固有の困難、および汚染のリスクの増大、および細胞の脱分化の可能性を含めた、播種に関連する多くの問題を回避する。したがって、開示される生分解性合成血管移植片は、より大きな在庫利用可能性、および増大した総合的な臨床的有用性を有する。]
[0015] 生分解性ポリマー血管移植片は、任意の公知の方法を使用して、生分解性ポリマーから製造することができる。一実施形態では、ポリマー血管移植片は、織られた、もしくは不織のシートもしくはフェルト、またはポリマー繊維から製造される。ポリマーおよび製造方法は、血管導管として使用するのに適した生体力学特性、例えば、初期破裂圧力、縫合保持強度、弾性、および引張強度などを伴う血管移植片を作製するように選択される。ポリマーの織られた、または不織のシートまたはフェルトは、ポリマーシーラントを用いてさらに処理することによって、移植片の生体力学特性を改変し、かつ/または血管移植片の総多孔度および孔サイズ分布範囲を制御することができる。]
[0016] サイトカインおよびケモカインは、血管リモデリングおよび血管新組織形成を促進する、移植片への宿主細胞の動員を生じさせることによって、ポリマー血管移植片の開存性を増大させるように機能すると考えられる。適当なサイトカインおよび/またはケモカインには、移植されたポリマー血管移植片への宿主細胞の動員を促進するものが含まれる。特に適当なサイトカインおよびケモカインには、移植されたポリマー血管移植片への単球の早期動員を促進するものが含まれる。例示的なサイトカインまたはケモカインとして、それだけに限らないが、単球走化性タンパク質−1(MCP−1)、インターロイキン−1β(IL−1β)、および顆粒球コロニー刺激因子(G−CSFまたはGCSF)が挙げられる。血管移植片の適合を促進する追加の生物活性剤も投与することができる。]
[0017] サイトカインおよび/またはケモカインは、有効量で投与することによって、移植されたポリマー血管移植片における再狭窄、血栓、または動脈瘤形成を予防、阻害、または低減することができる。サイトカインおよび/またはケモカインは、血管移植片移植の前、血管移植片移植と同時、血管移植片移植の後、またはこれらの任意の組合せで投与することができる。一実施形態では、サイトカインまたはケモカインは、制御放出製剤から局所的または全身的に投与される。]
[0018] 好適な実施形態では、サイトカインまたはケモカインは、制御放出製剤を使用して、移植片移植部位に局所的に投与される。一実施形態では、サイトカインまたはケモカインは、制御放出製剤として機能するポリマー血管移植片中、またはこのポリマー血管移植片上に組み込まれる。サイトカインまたはケモカインは、任意の公知の適当な方法を使用して、ポリマー血管移植片全体に均等に分散させることができる。別の実施形態では、サイトカインまたはケモカインは、ポリマー血管移植片中に組み込まれている第2のポリマーマトリックス中に封入することができる。一実施形態では、サイトカインまたはケモカインは、ミクロスフェア、ナノスフェア、微粒子、および/またはマイクロカプセル中に封入され、多孔質血管移植片中に播種される。]
[0019] 生分解性合成血管移植片は、任意の血管または心血管の外科的な用途のための静脈、動脈、または動静脈(artero−venous)導管として使用することができる。例示的な用途には、それだけに限らないが、先天性心臓手術、冠動脈バイパス手術、末梢血管手術、および血管アクセス(angioaccess)が含まれる。]
図面の簡単な説明

[0020] 図1は、移植して24週間後の、播種した、および播種していない組織操作された血管移植片(TEVG)の間の開存率(patency rates(percent patent))の差異を示す棒グラフである。
図2は、移植片移植後の日数の関数として、TEVG中に残っているヒトRNA(GAPDH)の画分を示す線グラフである。RNAの定量化は、Q−RT−PCRを使用して実施した。陰影をつけた範囲は、Q−RT−PCRの検出限界を表す。
図3は、骨格移植後1週目での、細胞を播種した(ヒト骨髄細胞(hBMC))または播種していない骨格当たりのF4/80陽性マウス単球/マクロファージの数を示す棒グラフである。
図4Aは、ELISAによって求めた場合の、骨格上に播種したとき、または播種していないときの、hBMCによって産生されたIL−1βの濃度(pg/ml)を示す棒グラフである。図4Bは、ELISAによって求めた場合の、骨格上に播種したとき、または播種していないときの、hBMCによって産生されたMCP−1の濃度(pg/ml)を示す棒グラフである。
図5Aは、移植して10週間後でのTEGVの内径(mm)を示す棒グラフである。TEVGは、播種されていないか、野生型マウス由来のBMCを播種されたか、またはMCP−1ノックアウトマウス由来の細胞を播種された。図5Bは、移植して10週間後でのTEVGの壁厚(mm)を示す棒グラフである。TEVGは、播種されていないか、野生型マウス由来のBMCを播種されたか、またはMCP−1ノックアウトマウス由来の細胞を播種された。
図6は、時間(時間)の関数としての、MCP−1を溶出する骨格からのMCP−1(ng)の放出プロファイルを示す線グラフである。
図7Aは、骨格移植後1週目での、骨格当たりのF4/80陽性マウス単球/マクロファージの数を示す棒グラフである。
図7Bは、移植して10週間後での、骨格の内径(mm)を示す棒グラフである。
図7Cは、移植して10週間後での、骨格の壁厚(mm)を示す棒グラフである。骨格は、播種されていないか、hBMCを播種されたか、またはMCP−1を溶出するミクロスフェアを播種されなかった。
図8Aは、G−CSFを用いて処置されたか、未処置のマウスについての、移植して10週間後での、骨格の内径(mm)を示す棒グラフである。図8Bは、G−CSFを用いて処置されたか、未処置のマウスについての、移植して10週間後での、骨格の壁厚(mm)を示す棒グラフである。] 図1 図2 図3 図4A 図4B 図5A 図5B 図6 図7A 図7B
[0021] I.定義
用語「導管」、「移植片」、「血管移植片」、および「骨格」は、本明細書で互換的に使用される。]
[0022] 「再狭窄」は、本明細書で定義する場合、以前の狭窄部位(すなわち、血管形成術の間のバルーン膨張部位)での血管の管腔のせばまり、または介入手順後の血管移植片もしくは合成移植片の管腔のせばまり(例えば、移植片を使用したバイパス手術後の動脈−静脈吻合の静脈側のせばまり)を意味する。再狭窄は、本明細書で使用する場合、閉塞を包含する。再狭窄は、血管壁に対する傷害後に起こる、任意の管腔せばまりを含む。したがって、再狭窄をもたらす傷害として、アテローム硬化性病変部に対する外傷(血管形成術で見られるような)、病変部の切除(動脈内膜切除で見られるような)、外部外傷(例えば、クロスクランピング傷害)、または外科的吻合を挙げることができる。]
[0023] 「コポリマー」は、2種以上の異なるモノマーからなる単一ポリマー物質を指すために本明細書で使用される。コポリマーは、任意の形態、例えば、ランダム、ブロック、グラフトなどであってもよい。コポリマーは、キャップされた末端基または酸末端基を含めた任意の末端基を有することができる。]
[0024] 「生体適合性の」は、本明細書で使用する場合、レシピエントに対して一般に無毒性であり、対象にいずれの著しい有害作用も引き起こさない物質、および任意の代謝産物、またはこれらの分解生成物を指す。]
[0025] 「生分解性の」は、対象によって代謝、排除、または排泄されることができる、より小さい単位または化学種に、生理的条件下で分解または侵食する物質を指す。]
[0026] 「制御放出」または「調整放出(modified release)」は、本明細書で使用する場合、時間過程および/または位置の活性薬剤放出特徴が、従来の剤形、例えば、溶液、懸濁液、または即座に溶解する剤形などによって提供されない、治療的または好都合な目的を実現するように選択される放出プロファイルを指す。遅延放出、持続放出、およびパルス放出、ならびにこれらの組合せは、調整放出の例である。]
[0027] 「生物活性剤」または「活性薬剤」は、治療剤、予防剤および/または診断剤を指すために本明細書で使用される。これは、限定することなく、体内で局所的または全身的作用する生理的または薬理学的に活性な物質を含む。生物学的に活性な薬剤は、例えば、疾患もしくは障害の治療、予防、診断、治癒、もしくは緩和のために使用される物質、体の構造もしくは機能に影響する物質、または所定の生理的な環境内に置かれた後生物学的に活性もしくはより活性になるプロドラッグである。生物活性剤は、ヒトまたは動物の体内で局所的または全身的に作用する、生物学的、生理的、または薬理学的に活性な物質を含む。例として、それだけに限らないが、小分子薬物、ペプチド、タンパク質、抗体、糖、多糖、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、アプタマー、siRNA、核酸、およびこれらの組合せを挙げることができる。「生物活性剤」には、単剤、または例えば、2種以上の生物活性剤の組合せを含めた複数の生物活性剤が含まれる。]
[0028] 用語「個体」、「宿主」、「対象」、および「患者」は、本明細書で互換的に使用される。]
[0029] II.生分解性合成血管移植片の開存性を促進するための方法
生分解性合成血管移植片の開存性は、1つまたは複数のサイトカインおよび/またはケモカインを投与して、生分解性合成血管移植片の長期間開存性を促進することによって増大する。サイトカインまたはケモカインの投与により、サイトカインまたはケモカインの非存在下での移植片の開存性と比べて、生分解性合成血管移植片の開存性が増大する。]
[0030] サイトカインおよびケモカインは、外向きの血管組織リモデリングおよび血管新組織形成を促進する、血管移植片への単球を含めた宿主細胞の早期動員を促進することによって、生分解性(biodegrabable)合成血管移植片の開存性を促進すると考えられる。]
[0031] 開示される生分解性合成血管移植片は、移植片の開存性を維持するために、細胞播種を必要としない。これは有利であるが、その理由は、この移植片が、自己細胞を得るための侵襲性手順の必要性、培養で細胞を増殖させるための相当な期間の必要性、罹病したドナーから健康な自己細胞を得ることにおける固有の困難、および汚染のリスクの増大、および細胞の脱分化の可能性を含めた、細胞播種に関連する問題を回避するためである。したがって、開示される生分解性合成血管移植片は、より大きな在庫利用可能性、および増大した総合的な臨床的有用性を有する。]
[0032] A.ポリマー血管移植片
本明細書に開示されるポリマー血管移植片は、生分解性ポリマーを使用して製造される管状多孔質導管である。ポリマー血管移植片中の孔により、移植片中への宿主細胞の動員および組込みが可能になる。動員された宿主細胞は、外向きの血管組織リモデリング、および血管新組織形成を媒介すると考えられる。現在臨床で使用されている合成血管移植片と異なり、開示されるポリマー血管移植片は生分解性であり、これにより、移植片が分解するにつれて、新組織を形成することによって、移植片が置き換えられることが可能になる。したがって、開示されるポリマー血管移植片は、成長能を提供し、これは、現在使用されている合成血管移植片では可能でない。]
[0033] 開示される移植片は、形状が実施的に管状であり、円形、または実質的に円形の断面を有する。管状移植片は、移植片の長さ全体にわたって延在する管腔を有する。移植片は、移植片の意図される外科的な使用に適した任意の適切な長さおよび直径とすることができる。一般に、移植片は、置換される動脈または静脈の長さよりわずかに長くあるべきである。]
[0034] 多孔質ポリマー血管移植片は、任意の適切な方法、例えば、溶融加工、溶媒加工、リーチング、発泡、押し出し、射出成形、圧縮成形、ブロー成形、噴霧乾燥、押し出しコーティング、および繊維の紡績と織られた、または不織の構成物への引き続く加工などを使用して製造することができる。移植片中の孔は、ソルトリーチング、昇華、溶媒蒸発、噴霧乾燥、発泡、繊維への材料の加工および織られた、または不織のデバイスへの引き続く加工を含めた任意の適当な方法によって得ることができる。好ましくは、デバイスの孔の直径は、5μmと500μmの間、より好ましくは5μmと250μmの間、より好ましくは5μmと100μmの間である。]
[0035] 一実施形態では、移植片は、管状導管に形成することができるポリマーの、フェルトまたはシート様材料から形成される。例えば、デバイスは、押し出されたポリマー繊維からの不織の、織られた、または編まれた構造として製造することができる。ポリマーシートは、それだけに限らないが、織物、編物、ブレード、またはフィラメントワインディングを含めた任意の布地構築物を使用して形成することができる。エレクトロスピニングなどの任意の適当な方法を、不織または織られたポリマー布地を製造するのに使用することができる。]
[0036] ポリマー血管移植片を製造するために選択されるポリマーおよび製造方法は、血管導管として使用するのに適した生体力学特性を有する移植片を作製するのに適している。血管移植片機能に重要な生体力学特性には、初期破裂圧力、縫合保持強度、および弾性が含まれる。一実施形態では、ポリマー血管移植片の初期破裂圧力は、約1,500mmHgと約4,500mmHgの間、好ましくは約2,000mmHgと約4,500mmHgの間である。別の実施形態では、ポリマー血管移植片は、約1Nと約5Nの間、好ましくは約2Nの約4Nの間の縫合保持強度を有する。別の実施形態では、血管移植片の固有弾性は、約10MPaと約50MPaの間、好ましくは約15MPaと約40MPaの間である。別の実施形態では、血管移植片の初期引張強度は、約1MPaと約10MPaの間、好ましくは、約3MPaと約6MPaの間である。]
[0037] 1.生分解性ポリマー
生分解性合成血管移植片は、任意の公知の生分解性ポリマー、コポリマー、またはこれらの混合物を使用して製造することができる。多くの適当な生分解性ポリマーが当技術分野で公知である。]
[0038] 好適な生分解性ポリマーの例には、乳酸およびグリコール酸のポリマーおよびコポリマー、ポリアンヒドリド、ポリ(オルト)エステル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ(酪酸(butic acid))、ポリ(吉草酸)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(ヒドロキシアルカノエート)、ならびにポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)など、ポリ(ヒドロキシ酸)などの加水分解によって分解する合成ポリマーが含まれる。]
[0039] 前述の材料は、物理的な混合物(ブレンド)、またはコポリマーとして単独で使用することができる。]
[0040] 好適な実施形態では、生分解性合成血管移植片は、ポリグリコール酸、またはポリ−L−乳酸から製造される。以下の例は、これらの生分解性ポリマーは、押し出して繊維にし、加工して不織のフェルトにすることによって、適切なポリマーシーラントと併用したとき、血管導管として使用するのに適した生体力学特性(引張強度、弾性率、および縫合保持強度など)を有する血管移植片を生成することができることを実証する。これらの血管移植片は、良好なインビボ生体適合性および機能性も有する。]
[0041] 2.シーラント
生分解性ポリマーの不織、織られた、または編まれたシートまたはフェルトから製造される合成血管移植片は、ポリマーシーラントを用いてさらに処理することができる。ポリマーシーラントは、引張強度および弾性などの血管移植片の生体力学特性を改変するように機能する。ポリマーシーラントは、血管移植片の総多孔度および孔サイズ分布範囲を制御するのに使用することもできる。]
[0042] 開示される生分解性合成血管移植片のためのポリマーシーラントは、それだけに限らないが、上記に列挙した生分解性ポリマーのリストを含めた任意の生分解性ポリマーとすることができる。一実施形態では、ポリマーシーラントは、ポリ(ε−カプロラクトン)とポリ(L−ラクチド)のコポリマーである。]
[0043] ポリマーシーラントは、適切な溶媒中に溶解した管状合成移植片に添加することによって、シーラントが、移植片を形成する生分解性ポリマーの、不織、織られた、または編まれたシートまたはフェルトに浸透することを可能にすることができる。次いで、ポリマーシーラントは、移植片の温度を下げることによって、液体から固相に急速に変換することができる。次いで溶媒は、凍結乾燥などの適切な技法によって除去することができる。]
[0044] B.サイトカインおよびケモカイン
適当なサイトカインおよびケモカインには、移植された合成血管移植片への宿主細胞の動員を促進するサイトカインおよびケモカインが含まれる。特に適当なサイトカインおよびケモカインには、移植後に、移植された合成血管移植片への単球の早期動員を促進するものが含まれる。血管移植片に早期に動員される単球は、外向きの血管組織リモデリング、および血管新組織形成を促進すると考えられる。]
[0045] 例示的なサイトカインおよびケモカインとして、それだけに限らないが、インターロイキン(IL)1α、IL−1β、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−9、IL−10、IL−12(p40)、IL−12(p70)、IL−13、IL−15、IL−17、IP−10、エオタキシン、インターフェロンγ(IFNγ)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒球/マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、単球走化性タンパク質1(MCP−1)、マクロファージ炎症性タンパク質1α(MIP−1α)、RANTES、腫瘍壊死因子(TNF)−α、血小板由来成長因子(PDGF)−AA、PDGFAB/BB、TGF−β、およびVEGF、またはこれらの組合せが挙げられる。一実施形態では、サイトカインまたはケモカインはG−CSFである。別の実施形態では、サイトカインまたはケモカインはMCP−1である。別の実施形態では、サイトカインまたはケモカインはIL−1βである。]
[0046] 以下の例は、合成血管骨格上に播種される場合に開存性を促進するヒト骨髄細胞(hBMC)が、ポリマー骨格上に播種される場合、MCP−1およびIL−1βの産生および分泌を著しく増大させることを実証する。これらの例は、MCP−1−/−マウス由来の骨髄細胞を播種されたポリマー血管移植片が、野生型マウス由来の骨髄細胞を播種されたポリマー血管移植片と比較した場合、マウス中に移植されたとき、管腔の内径を減少させ、移植片の壁厚を著しく増加させたことも実証する。これらの例は、ポリマー血管骨格を移植する前にG−CSFを投与することにより、血管骨格の開存性が著しく増大することも実証する。]
[0047] C.追加の生物活性剤
血管移植片の適合を促進する追加の生物活性剤も投与することができる。適当な生物活性剤または薬物として、それだけに限らないが、抗血栓薬、例えばヘパリン、ヘパリン誘導体、ウロキナーゼ、およびPPack(デキストロフェニルアラニンプロリンアルギニンクロロメチルケトン);抗増殖剤、例えば、エノキサパリン(enoxaprin)、アンギオペプチン、または平滑筋細胞増殖を遮断することができるモノクローナル抗体、ヒルジン、およびアセチルサリチル酸など;抗腫瘍薬/抗増殖剤/抗有糸分裂剤、例えば、パクリタキセル、5−フルオロウラシル、シスプラチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、エポチロン、エンドスタチン、アンジオスタチン、およびチミジンキナーゼ阻害剤;麻酔剤、例えば、リドカイン、ブピバカイン、およびロピバカイン;抗凝固剤、例えば、D−Phe−Pro−Argクロロメチルケトン、RGDペプチド含有化合物、ヘパリン、抗トロンビン化合物、血小板受容体アンタゴニスト、抗トロンビン抗体、抗血小板受容体抗体、アスピリン、プロスタグランジン阻害剤、血小板阻害剤、およびマダニ抗血小板ペプチド;血管細胞増殖プロモーター、例えば、増殖因子阻害剤、増殖因子受容体アンタゴニスト、転写アクチベーター、および翻訳プロモーター;血管細胞増殖阻害剤、例えば、増殖因子阻害剤、増殖因子受容体アンタゴニスト、転写抑制因子、翻訳抑制因子、複製阻害剤、阻害性抗体、成長因子に対する抗体、成長因子と細胞毒からなる二官能性分子、抗体と細胞毒からなる二官能性分子;コレステロール低下薬;血管拡張剤;ならびに内因性血管作動性(vascoactive)機構を妨害する薬剤が挙げられる。]
[0048] D.医薬組成物および投与方法
サイトカインまたはケモカインは、ポリマー血管移植片を受けている対象に、有効量で投与されることによって、移植された血管移植片における再狭窄、血栓形成、または動脈瘤形成が予防、阻害、または低減される。正確な投与量は、様々な要因、例えば、投与されている特定のサイトカイン(複数も)またはケモカイン(複数も)の性質、投与経路、および対象に依存する可変物(例えば、年齢など)によって変化する。]
[0049] サイトカインまたはケモカインは、血管移植片移植部位に全身的または局所的に投与することができる。サイトカインまたはケモカインは、血管移植片移植の前、血管移植片移植と同時、血管移植片移植の後、またはこれらの任意の組合せで投与することができる。一実施形態では、サイトカインまたはケモカインは、制御放出製剤から局所的または全身的に投与される。サイトカインまたはケモカインは、追加の生物活性剤と別々に投与してもよく、またはいっしょに投与してもよい。]
[0050] ペプチドまたはポリペプチド(すなわち、サイトカインおよびケモカイン)を含有する医薬組成物は、非経口(筋肉内、腹腔内、静脈内(IV)、または皮下注射)、経皮(受動的に、またはイオン導入、もしくは電気穿孔を使用して)、または経粘膜(経鼻、膣、直腸、または舌下)の投与経路による投与用とすることができる。組成物は、それぞれの投与経路に適切な剤形で製剤化することができる。ペプチドでもポリペプチドでもない生物活性剤を含有する組成物は、経腸投与用にさらに製剤化することができる。]
[0051] 一実施形態では、サイトカインまたはケモカインは、血管移植片中または血管移植片上に組み込まれる。サイトカインまたはケモカインは、任意の公知の適当な方法を使用して、ポリマー血管移植片全体に均等に分散させることができる。サイトカインまたはケモカインは、血管移植片中に直接組み込むことができ、またはミクロスフェア、ナノスフェア、微粒子、および/もしくはマイクロカプセルの形態で封入し、多孔質血管移植片中に播種することができる。]
[0052] 1.非経口投与用製剤
一実施形態では、サイトカインおよびケモカインを含めたポリペプチド生物活性剤は、非経口注射によって水溶液で投与される。この製剤は、懸濁液またはエマルジョンの形態とすることもできる。一般に、医薬組成物は、有効量のサイトカインまたはケモカインを含んで提供され、薬学的に許容される希釈剤、保存剤、可溶化剤、乳化剤、補助剤、および/または担体を場合により含む。そのような組成物は、希釈剤、滅菌水、様々な緩衝剤含量(例えば、トリス−HCl、酢酸塩、リン酸塩)の緩衝化食塩水、pHおよびイオン強度;ならびに場合により、添加剤、例えば界面活性剤および可溶化剤(例えば、TWEEN(登録商標)20、TWEEN(登録商標)80、ポリソルベート80)、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム)、および保存剤(例えば、チメロサール(Thimersol)、ベンジルアルコール)、および充填物質(例えば、ラクトース、マンニトール)を含む。非水性溶媒またはビヒクルの例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油およびトウモロコシ油などの植物油、ゼラチン、ならびにオレイン酸エチルなどの注射用有機エステルである。製剤は、凍結乾燥し、使用直前に再溶解/再懸濁させることができる。製剤は、例えば、細菌をとどめるフィルターを通して濾過することによって、組成物中に滅菌剤を組み込むことによって、組成物を照射することによって、または組成物を加熱することによって滅菌することができる。]
[0053] 2.局所投与用製剤
別の実施形態では、サイトカインまたはケモカインを含めた生物活性剤は、局所的に投与される。]
[0054] 組成物は、約5ミクロン未満の空気力学的直径を有するエアロゾルまたはスプレー乾燥粒子として送達されるとき、吸入しながら肺に送達し、肺上皮内層(lining)を横切って血流に送達することができる。]
[0055] それだけに限らないが、噴霧器、定量吸入器、および粉末吸入器を含めた、治療製品の肺送達のために設計された広範囲の機械的デバイスを使用することができ、そのすべては当業者によく知られている。市販のデバイスのいくつかの具体例は、Ultravent噴霧器(Mallinckrodt Inc.、St. Louis、Mo.);Acorn II噴霧器(Marquest Medical Products、Englewood、Colo.);Ventolin定量吸入器(Glaxo Inc.、Research Triangle Park、N.C.);およびSpinhaler粉末吸入器(Fisons Corp.、Bedford、Mass.)である。Nektar、Alkermes、およびMannkindはすべて、吸入可能なインスリン粉末吸入器を有する。]
[0056] 粘膜への投与用の製剤は、一般に、スプレー乾燥薬物粒子であり、これは、錠剤、ゲル、カプセル、懸濁液、またはエマルジョン中に組み込むことができる。標準的な薬学的賦形剤は、任意の製剤者(formulator)から入手可能である。経口製剤は、チューインガム、ゲル片、錠剤、またはロゼンジの形態とすることができる。]
[0057] 経皮製剤も調製することができる。これらは一般に、軟膏、ローション剤、スプレー、またはパッチであり、そのすべては、標準的な技術を使用して調製することができる。経皮製剤は、浸透エンハンサーを含めることが必要になる。]
[0058] 3.制御送達ポリマーマトリックス
一実施形態では、サイトカインまたはケモカインは、制御放出製剤を使用して全身的または局所的に投与することができる。好適な実施形態では、サイトカインまたはケモカインは、制御放出製剤を使用して移植片移植部位に局所的に投与される。一実施形態では、サイトカインまたはケモカインは、制御放出製剤として機能するポリマー血管移植片中、またはこのポリマー血管移植片上に組み込まれる。サイトカインまたはケモカインは、任意の公知の適当な方法を使用して、ポリマー血管移植片全体に均等に分散させることができる。例えば、1つまたは複数のサイトカインまたはケモカインは、ポリマー溶液もしくはエマルジョンにこれらを添加することによる製造の間、またはエレクトロスピニング法などによるポリマー布地の製造の間に、ポリマー骨格に添加することができる。さらに、または代わりに、1つまたは複数のサイトカインまたはケモカインは、製造後にポリマー移植片に添加することができる。別の実施形態では、サイトカインまたはケモカインは、管状ポリマー血管移植片の外部または管腔に選択的に局在化されることが好ましい。]
[0059] 別の実施形態では、サイトカインまたはケモカインは、ポリマー血管移植片中に組み込まれた第2のポリマーマトリックス中に封入することができる。一実施形態では、サイトカインまたはケモカインは、ミクロスフェア、ナノスフェア、微粒子および/またはマイクロカプセル中に封入され、多孔質血管移植片中に播種される。マトリックスは、ミクロスフェアなどの微粒子の形態とすることができ、そこでポリペプチドは、固体ポリマーマトリックスまたはマイクロカプセル内に分散され、コアは、ポリマーシェルと異なる材料であり、ポリペプチドは、コア中に分散または懸濁され、コアは、本質的に液体であっても固体であってもよい。本明細書で具体的に定義されない限り、微粒子、ミクロスフェア、およびマイクロカプセルは、互換的に使用される。あるいは、ポリマーは、数ナノメートルから4センチメートルの範囲の薄スラブもしくはフィルム、粉砕もしくは他の標準的な技法によって生成される粉末、またはさらにはヒドロゲルなどのゲルとして成形し、血管移植片のためのコーティングとして使用することができる。]
[0060] 非生分解性または生分解性のマトリックスのいずれも、サイトカインまたはケモカインを送達するのに使用することができるが、生分解性マトリックスが好適である。これらは天然ポリマーであっても、合成ポリマーであってもよいが、分解プロファイルおよび放出プロファイルのより良好な特徴づけのために、合成ポリマーが好適である。ポリマーは、放出が望まれる期間に基づいて選択される。場合によっては、線形放出が最も有用なとなり得るが、他の場合では、パルス放出または「バルク放出」が、より有効な結果をもたらす場合がある。ポリマーは、ヒドロゲル(一般に、最大約90重量%の水を吸収することにおいて)の形態とすることができ、多価イオンまたはポリマーを用いて場合により架橋することができる。]
[0061] マトリックスは、溶媒蒸発、噴霧乾燥、溶媒抽出、および当業者に公知の他の方法によって形成することができる。生体侵食可能なミクロスフェアは、例えば、MathiowitzおよびLanger、J. Controlled Release、5巻:13〜22頁(1987年);Mathiowitzら、Reactive Polymers、6巻:275〜283頁(1987年);ならびにMathiowitzら、J. Appl. Polymer Sci.、35巻:755〜774頁(1988年)によって記載されているような、薬物送達用ミクロスフェアを製造するために開発された任意の方法を使用して調製することができる。]
[0062] 4.経腸投与用製剤
ペプチドでもポリペプチドでもない生物活性剤も、経口送達用に製剤化することができる。経口固体剤形は、当業者に公知である。固体剤形として錠剤、カプセル、ピル、トローチもしくはロゼンジ、カシェ剤、ペレット、粉末、もしくは顆粒、またはポリ乳酸、ポリグリコール酸などのポリマー化合物の粒状製剤中、もしくはリポソーム中への材料の組込んだもの(incorporation)が挙げられる。そのような組成物は、本タンパク質および誘導体の物理状態、安定性、インビボ放出速度、およびインビボクリアランス速度に影響し得る。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、21版(2005年、Lippincott、Williams & Wilins、Baltimore、Md. 21201)889〜964頁を参照されたい。この組成物は、液体形態で調製することができ、乾燥粉末(例えば、凍結乾燥した)形態とすることができる。リポソーム被包またはポリマー被包を、組成物を製剤化するのに使用することができる。Marshall, K.、「Modern Pharmaceutics」、G. S. BankerおよびC. T. Rhodes編 10章、1979年も参照されたい。一般に、製剤は、活性薬剤、および胃環境においてペプチドを保護し、腸内で生物学的に活性な物質を放出する不活性成分を含む。]
[0063] 別の実施形態は、薬学的に許容されるエマルジョン、溶液、懸濁液、およびシロップを含めた、経口投与用の液体剤形を提供し、これは、不活性な希釈剤;補助剤、例えば、湿潤剤、乳化剤、および懸濁剤;ならびに甘味剤、香味剤、および芳香剤を含めた他の成分を含有することができる。]
[0064] 制御放出経口製剤が望ましい場合がある。非ポリペプチド生物活性剤を、拡散機構またはリーチング機構による放出を可能にする不活性なマトリックス、例えば、フィルムまたはゴムに組み込むことができる。徐々に崩壊するマトリックスも、製剤に組み込むことができる。制御放出の別の形態は、薬物が半透膜で囲まれているものであり、この半透膜は、水を入れ、浸透圧効果により、1つの小さい開口部を通して薬物を押し出すことを可能する。経口製剤について、放出位置は、胃、小腸(十二指腸、空腸(jejunem)、もしくは回腸)、または大腸とすることができる。放出は、活性薬剤(もしくは誘導体)を保護することによって、または腸内などの胃環境を越えて活性薬剤を放出することによって、胃環境の有害な作用を回避することが好ましい。完全な胃耐性を保証するために、腸溶コーティング(すなわち、少なくともpH5.0に対して不浸透性)が必須である。腸溶コーティングとして使用される、より一般的な不活性成分の例は、セルロースアセテートトリメリテート(CAT)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、HPMCP50、HPMCP55、ポリビニルアセテートフタレート(PVAP)、オイドラギットL30D、アクアテリック(Aquateric)、セルロースアセテートフタレート(CAP)、オイドラギットL、オイドラギットS、およびセラックである。これらのコーティングは、Banner Pharmacapsから入手可能なものなどの混合フィルムまたはカプセルとして使用することができる。]
[0065] III.開存性が増大した生分解性合成血管移植片の用途
本明細書に開示される生分解性合成血管移植片は、任意の血管または心血管の外科的な用途のための静脈、動脈、または動静脈(artero−venous)導管として使用することができる。例示的な用途には、それだけに限らないが、先天性心臓手術、冠動脈バイパス手術、末梢血管手術、および血管アクセスが含まれる。]
[0066] 血管バイパス移植は、血管狭窄を治療するために最も一般に実施される。しかし、血管移植片は、動脈瘤または慢性腎不全(血液透析のためのアクセスとして)などの他の状態を治療するためにも使用される。血管移植は、従来の手術または血管内技法によって実施することができる。]
[0067] 冠動脈バイパス移植(CABG)は、血管バイパス手術の一例である。この手順で、バイパス移植片は、狭窄部位または閉塞部位の遠位にある冠動脈をバイパスするのに使用される。静脈移植片が使用される場合、一端は、大動脈に吻合され、他端は、狭窄または閉塞を越えて冠動脈に吻合される。動脈移植片が使用される場合近位端はそのままにし(したがって動脈の正常な血液流入を保存する)、遠位末端は、狭窄または閉塞を越えて冠動脈に吻合される。]
[0068] 一般に、インサイツの動脈または静脈と合成移植片の間の吻合(すなわち管状部分の外科的結合)は、縫合糸を用いて、移植片をインサイツの血管に縫いつけることによって行われる。一般に使用される縫合糸材料には、プロリン(押出ポリプロピリン(polypropyline))およびePTFEが含まれる。]
[0069] (実施例1)
播種されたヒト骨髄単核細胞(hBMC)は、TEVGの機能的結果および血管発生を改善する
材料および方法:
生分解性PGA−P(CL/LA)骨格構築物
二重シリンダーチャンバー成形システムを直径6.5mmのポリプロピレンロッドから構築した。長さ30mmにわたって、直径1.4mmの内側シリンダーをロッドの中心を通じて抜き、入口では6.0mmとなるように徐々に先細にした。ポリグリコール酸(PGA)不織フェルト(ConcordiaFibers、Coventry、RI)を、骨格のフレームワークに使用した。フェルトは、約90%(PGA)または83%(PLLA)の総多孔度を有する300mmの厚さであった。内側シリンダーが徐々に先細であることにより、平らなフェルト切片(6.0mm×4.0mm)を、二重シリンダーチャンバーシステムの入口を通して挿入する間に、容易に管に形成することが可能になった。次いでステンレス鋼針(21g)を反対端に導入することによって、内側の管腔を維持し、フェルトをさらに圧縮した。3−カプロラクトンとL−ラクチド(P(CL/LA))の50:50コポリマーシーラント溶液(263,800Da、Absorbable Polymers International、Birmingham、AL)を、1,4−ジオキサン中に5%(w/v)でコポリマーを溶解させることによって作製した。このP(CL/LA)シーラントをチャンバーシステムの入口に注入し、フェルトを貫通させ、開いた綴じ目(open seam)を融合させた。ハイブリッドポリエステル骨格を、−20℃で30分間、即座に凍結させ、P(CL/LA)シーラントの液体から固相への急速な変換を可能にし、PGA繊維を相互接続している新しく画定された多孔質構造のP(CL/LA)ポリマーを有する封管を作製した。骨格を24時間凍結乾燥することによって、溶媒を除去した後、これらを二重シリンダーチャンバーシステムから取り出した。]
[0070] BMC単離
マウスの骨髄を、MCP−1−/−または同系のC57BL/6マウス(Jackson Laboratories)の大腿骨から単離した。未分画のヒト骨髄(10ドナー)は、Lonzaから購入した。骨髄を滅菌PBS中で1:1に希釈し、100μmナイロンメッシュを通して濾過した。次いでhistopaque−1077(ヒト)またはhistopaque−1068(マウス)(Sigma)を使用して、密度勾配遠心分離によって単核細胞を単離した。]
[0071] PGA−P(CL/LA)骨格上へのBMCの播種
骨格にBMCを付着させるのに、フィブリンゲル溶液を使用した。滅菌したフィブリノーゲン溶液(PBS中100mg/mlのヒトフィブリノーゲン[Sigma])中に2×106細胞/mlでBMCを懸濁させた。50マイクロリットルのBMC−フィブリノーゲン溶液(1×106個のBMC)を、それぞれの骨格上に静的に播種した。滅菌したトロンビン溶液(PBS中40mMのCaCl2中の100U/mlのヒトトロンビン[Sigma])を添加することによって、細胞溶液を骨格上に凝固させた。播種した骨格は、外科的に移植される準備ができるまで、10%のFBSを含むRPMI−1640培地中で、37℃でインキュベートした。すべての骨格は、播種して48時間以内に移植した。]
[0072] 腎臓下IVC間置手術
すべての骨格は、3〜4カ月齢のメスのC.B−17 SCID/bgマウス(Taconic Farms)の腎臓下の下大静脈(IVC)中に縫合した。麻酔したマウスを仰臥位に配置し、腹部正中切開で開いた。腎臓下IVCまたは大動脈を、5倍の拡大率下で露出し、クロスクランプし、切除した。次いで、末端間の近位および遠位の吻合について、連続10−0ナイロン縫合糸を使用して、長さ3ミリメートルの骨格を間置移植片として挿入した。動物を手術から戻し、いずれの抗凝固または抗血小板療法を使用することなく維持した。合計97匹の動物に、BMC播種骨格、播種していない骨格、MCP−1を溶出する骨格を移植した。1日目、3日目、1週間目、3週間目、6週間目、10週間目、および24週間目に、動物を屠殺し、移植片を生理的圧力条件下でインビボ灌流固定にかけた後、外植した。すべての動物実験は、動物の使用およびケアについての施設の指針に従って行い、倫理調査委員会は、記載した実験手順を認可した。]
[0073] マイクロコンピュータ断層撮影血管造影(microCTA)
TEVGのインビボ開存性および形態を、microCTAを使用して評価した。麻酔したマウスを、100IUのヘパリンを用いて抗凝固処置した後、屠殺した。PE−10(ポリエチレン)カテーテルを、IVCまたは大動脈中に挿入し、Omnipaque(300mg/ml)300mlを、それぞれの静脈または動脈の循環系中に注入した。次いでマウスを、X−O(商標)microCT(Gamma−Medica、Northridge、CA)で映像化した。COBRAソフトウェア(Exxim Computing Corporation)を使用して3次元再構築を行った。Total Commander(Ghisler & Co.)を使用して画像を合わせ、AMIDEイメージングソフトウェア(Loening)を用いてボリュームを与えた。]
[0074] 組織学
外植した移植片を10%のホルマリン中で一晩固定し、次いでパラフィン中に包埋した。H&E、Gamoriトリクローム(コラーゲン)、およびVerhoeff−van Gieson(エラスチン)を用いて切片を染色した。以前に公開された方法を使用して、いくつかの移植前のhBMC播種骨格を、グリコールメタクリレート中に包埋することにより、加工してより良好な組織学的構造を維持した。]
[0075] 形態計測分析
ImageJソフトウェア(NIH)を使用して、それぞれの外植した骨格についての内径および壁厚を測定した。]
[0076] 統計分析
すべてのデータを平均値±標準誤差として表す。統計的有意は、Windows(登録商標)用MS ExcelおよびSPSS11.5で計算した。すべての多群分析において、群間の全体的な比較は、一元配置ANOVAを用いて実施した。有意差が見出された場合、チューキー法を使用して対での比較を実施し、複数の対での分析を補正した。厳密に対での比較をするために、独立したスチューデントのt検定を実施した。0.05未満の確率値は、有意であるとみなした。]
[0077] 結果:
骨格上にhBMCを播種することにより、並行して移植した播種していない骨格と比較して、IVC間置移植片としてその開存率が有意に改善された。術後10週目までに、7つの播種していない骨格のうちの3つは完全に閉塞し、1つは70%超狭窄し、残りの3つは開存のままであった(図1)。マイクロCT血管造影は、マウスは、大静脈側副を発達させることにより、移植片閉塞を補償したことを示し、閉塞は、急性血栓事象ではなく、段階的な狭窄過程による可能性があることを示した。閉塞した骨格の組織学的分析での確認によって、管腔内への閉塞性の細胞増殖が示された。反対に、hBMC播種を移植前に実施した場合、100%の開存率を得た(図1)。すべてのhBMC播種骨格(n=5)は、10週目で開存しており、マイクロCT血管造影および組織学的分析の両方によって測定した場合、十分に画定された内部管腔を有していた。] 図1
[0078] hBMC播種は、管腔閉塞を単に遅延させただけでないことを確認するために、3つのhBMC播種骨格を24週間追跡し、長期間の血管発達および機能を評価した。すべての3つの播種したTEVGは、開存のままであり、天然マウスのIVCに形態学的および組織学的に類似していた。移植片の壁厚は実質的に減少し、内径や管壁は天然のIVCのそれに匹敵するものであった。元の骨格材料は分解し、組織化された血管構造を有する成熟した新血管によって有効に置換されていた。コンフルエントな内皮単層からなる明らかに画定された内膜、および1〜2層の平滑筋細胞を含有する中膜が存在した。周囲に配向したコラーゲン原線維は、支持的な外膜層を構成した。]
[0079] (実施例2)
幹細胞は、播種したhBMCのマイナー画分を構成する。]
[0080] 材料および方法:
材料および方法は、以下に記載したものを除いて、実施例1に記載した通りであった。]
[0081] hBMCの特徴づけ
フローサイトメトリーを使用することによって、ヒト骨髄の単核細胞画分中の亜集団を同定し、定量化した。5人の異なるドナーに由来するヒトBMCを使用し、3連で試験した。使用した抗体は、BD Biosciences(CD8 PerCP(SK1)、CD14FITC(M5E2)、CD31 FITC(WM59)、CD34 PEおよびPerCP−Cy5.5(8G12)、CD45APC−Cy7(2D1)、CD56 PE(NCAM16.2)、CD146(P1H12)、CD73 PE(AD2)、CD90 FITC(5E10)、7AAD);E−Bioscience(CD3 APC(HIT3a)、CD4 FITC(L3T4)、CD19(PE−Cy7));Miltenyi Biotec(CD133 APC(AC133));R&D Systems(VEGFR2 PE(89106));ならびにAbD Serotec(CD 105 Alexa 647(SN6))から購入した。細胞はFACSAria細胞選別機で取得し、結果はDIVAソフトウェア(BD Bioscience)を使用して分析した。]
[0082] 定量的な画像解析
相対的な細胞性を、それぞれの外植した骨格について測定した。各外植片の2つの別々の切片をH&Eを用いて染色し、400倍の拡大率で画像化し、高倍率視野(hpf)として示した。次いで、各切片の5つの領域において、核の数をカウントし、平均した。宿主マウス単球、および播種したヒトBM−MNC亜集団を、それぞれ、陽性のF4/80、hCD45、hCD34およびhCD31発現によって同定し、また、移植前の骨格、および術後1週目の外植片において、同様の方法を使用して定量化した。]
[0083] 結果:
播種したhBMCが、血管成長およびTEVGの発達を改善した機構を決定するために、播種に使用したヒトBMC集団内の細胞集団の表現型および相対的な存在量を最初に調査した。ヒトBMCは、単球(10±4.7%)、CD4+T細胞(7.0±2.7%)、CD8+T細胞(7.9±2.5%)、B細胞(6.4±2.1%)、およびNK細胞(3.2±1.4)を含む成熟白血球集団から主になっていた(表1)。]
[0084] 同定された成人幹細胞の最大集団は、CD34+造血幹細胞(HSC;1.8±0.53%)であった。後期増殖内皮前駆細胞(L−EPC)である可能性があるAC133+KDR+CD45−細胞は、BMC集団の0.0029±0.0042%を構成する一方で、CD90+CD73+CD105+CD45−CD34−間葉幹細胞(MSC)は、BMCの最小の割合を構成し、収率はわずかに0.0013±0.00096%であった。BMC中に存在する前駆細胞、平滑筋細胞、および内皮細胞の相対的な欠乏は、播種したBMCは、血管新組織の細胞成分の供給源ではない場合がある可能性を最初に提起した。]
[0085] 骨格中にhBMCの濃縮懸濁液を直接ピペットで移すことからなる静的播種は、元の集団と同様の細胞型の分布をもたらし、すなわち、いずれの特定の亜集団に対しても明白な優先はなかった。移植前に、骨格中のhBMCの大部分はCD45+成熟白血球であり、高倍率視野(hpf)当たり30細胞を超えていた。CD31+成熟ECおよびCD34+幹細胞も同定されたが、はるかに少ない数であり、それぞれhpf当たり1細胞未満であった。α−平滑筋アクチン(αSMA)発現は、移植前にまったく検出可能でなかった。]
[0086] (実施例3)
播種したhBMCは、発達中の新血管中に組み込まれない
材料および方法:
材料および方法は、以下に記載したものを除いて、実施例1および2に記載した通りであった。]
[0087] 免疫組織化学
種特異的抗体を使用することによって、播種したヒト細胞と動員されたマウス宿主細胞を区別した。使用したヒト特異的一次抗体は、マウス−抗ヒトCD31(Dako)、CD68(Dako)、CD34(Abcam)、およびCD45(AbD Serotec)を含んでいた。使用したマウス特異的一次抗体は、ラット−抗マウスMac−3(BD Bioscience)、F4/80(AbD Serotec)、IL−1β(R&D Systems)、およびヤギ−抗マウスVEGF−R2(R&D Systems、最小の交差反応性)を含んでいた。両方の種と交差反応する一次抗体は、マウス−抗ヒトα−平滑筋アクチン(αSMA)(Dako)、VEGF(Santa Cruz)、およびウサギ−抗ヒトフォンウィルブランド因子(vWF)(Dako)であった。抗体結合は、適切なビオチン化二次抗体を使用し、その後にストレプトアビジン−HRPを結合し、3,3−ジアミノベンジジン(Vector)を用いて発色させることによって検出した。次いで核を、ヘマトキシリンを用いて対比染色した。免疫蛍光検出のために、ヤギ−抗ウサギIgG−Alexa Fluor 568(Invitrogen)、またはヤギ−抗マウスIgG−Alexa Fluor 488(Invitrogen)を使用し、引き続いて4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール(DAPI)で核を対比染色した。]
[0088] TEVG中のヒトRNAの検出
移植して1、3、7、もしくは21日後、または移植直前に収集したTEVGを、液体窒素で即座に凍結し、ドライアイス上で機械的に粉砕し、その後にRLT溶解緩衝液(Oiagen)中でインキュベートすることによってRNAを抽出した。Qiashredderカラム(Oiagen)を通して試料を通過させ、製造者のプロトコールに従って、RNeasyミニキット(Oigen)を使用して処理した。ランダムなヘキサマーおよびオリゴ−dTプライマーを用いた逆転写を、MultiscribeRTシステムプロトコール(Applied Biosystems)に従って実施した。TaqMan2xPCRMaster Mix、およびApplied Biosystemsからの事前に作製したアッセイ試薬(ヒトGAPDH、Hs99999905ml.マウスHPRT、Mm00446968ml)を用いてPCR反応物を準備し、iQ5(Bio−Rad)で分析した。ヒトおよびマウスのプローブの種特異性は、ヒトおよびマウスの対照動脈セグメントで確認した。ヒトRNAの検出限界を求めるために、培養物中のヒトBMC細胞、および骨格上に播種したヒトBMC細胞の10倍連続希釈物から得たヒトGAPDHレベルを測定することによって、検量線を作成した。このアッセイの検出限界は、10細胞と100細胞の間であった。]
[0089] 結果:
播種したhBMCまたはその子孫が、発達中のTEVGの細胞性に直接寄与しているかどうかを判定するために、次にヒト特異的マーカーおよび免疫組織化学を使用して、24週間にわたってこれらの細胞を追跡した。CD34+ヒト幹細胞は、術後1週目までにもはや検出することができなかったが、CD68+ヒト単球およびCD31+ヒトECは、骨格の壁内に依然として検出することができた。しかしいずれの細胞型も、管腔表面、血管新組織形成の位置に沿って同定されなかった。3週目までに、CD45、CD68、CD31、またはCD34を発現するヒト細胞は、移植片のどこにもまったく検出することができず、播種したhBMCは、この時点後に存在する可能性はないことを示した。Q−RT−PCRによるヒト特異的GAPDH RNAの検出は、移植前にTEVG上でヒトRNAの存在を確認したが、7POD後にいずれのヒトRNAも検出することができなかった(図2)。] 図2
[0090] 播種したhBMCは、発達中の新血管中に永続的に組み込まれなかったが、これらは骨格の細胞発達に確かに影響した。hBMC播種骨格および播種していない骨格の両方の総細胞性は、10週間にわたって徐々に増大し、最も実質的な変化は発達の第1週の間に起こった。術後1日目および3日目で、hBMC播種骨格、および播種していない骨格の間で、細胞性の有意差をまったく検出することができなかった。しかし、7日目までに、細胞性の増大は、hBMCを播種していない骨格(n=6;160±40細胞/hpf)と比較して、hBMC播種骨格について有意に大きかった(n=6;270±22細胞/hpf)(p<0.001)。この細胞性の増大は、hBMCを播種していない骨格(60±12単球/hpf)と比較した場合に、hBMC播種骨格中への宿主マウス単球の浸潤の有意な増大(120±20単球/hpf)(p<0.001)に主によるものであった(図3)。] 図3
[0091] (実施例4)
BMC由来MCP−1は、TEVG発達における決定的な分子である
材料および方法:
材料および方法は、以下に記載したものを除いて、実施例1〜3に記載した通りであった。]
[0092] サイトカインおよびケモカインのプロファイルのためのELISA
RPMI−1640+10%のFBS中、PGA−P(CL/LA)骨格または組織培養プラスチック上で、2×106細胞/mlで48時間hBMCを培養した。上清中のVEGF、SDF−1、IL−1β、およびMCP−1のレベルを、R&D SystemsからのELISAキットを使用して測定した。最小検出値は、SDF−1αが156pg/mL、VEGFが15.6pg/mL、IL−1βが3.9pg/mLであり、MCP−1が31.2pg/mLであった。]
[0093] 結果:
上記知見に基づいて、宿主単球が、新血管発達を促進すると仮定した。残りの実施例は、播種したhBMCが、早期の宿主単球動員をどのように増大させることができたかに対処する。骨格バイオマテリアルとの相互作用が、hBMCによる走化性因子の産生にどのように影響したかを最初に調査した。ELISAを使用することによって、インターロイキン−1β(IL−1β)、MCP−1、ストローマ由来因子−1α(SDF−1α)、および血管内皮成長因子(VEGF)を含めたいくつかの候補ケモカインの存在について試験した。骨格への曝露は、hBMCによって分泌されるインターロイキン−1β(IL−1β)およびMCP−1の量を有意に増加させることが判明した(図4Aおよび4B)。幹細胞動員としばしば関連する2つの因子である、ストローマ由来因子−1α(SDF−1α)および血管内皮成長因子(VEGF)の産生は、骨格材料への曝露があってもなくても、ELISAの検出レベル未満であった。] 図4A
[0094] MCP−1は、単球動員にとって強力な刺激剤であることが分かったので、次に、一連の実験を実施することによって、播種したBMCによって産生されるMCP−1が、TEVG発生において重要であるかどうかを判定した。BMC由来MCP−1の効果を分析するために、骨格に、MCP−1−/−マウスまたは同系のC57BL/6野生型(WT)マウスから得たマウスBMC(mBMC)を播種した。MCP−1−/−マウスに由来するBMCは、MCP−1を産生することができず、これは、播種したBMCから分泌されるMCP−1の役割を特異的に排除する。SCID/bgマウス中でIVC間置移植片として発達して10週間後に、MCP−1−/−mBMC播種骨格(n=5)を、WT mBMC播種骨格(n=5)と比較した。管腔の内径は、有意の傾向(0.55±0.12mm対0.71±0.12mm;p=0.07)で減少し、移植片の壁厚は、MCP−1−/−BMC播種骨格において有意に増加し(0.25±0.04mm対0.20±0.01mm;p=0.04)、播種したBMCに由来するMCP−1は、TEVG発達において決定的な役割を果たしていることを示した(図5Aおよび5B)。] 図5A
[0095] (実施例5)
MCP−1微粒子は、播種したhBMCのパラクリン機能を模倣する
材料および方法:
材料および方法は、以下に記載したものを除いて、実施例1〜4に記載した通りであった。]
[0096] MCP−1溶出材料の合成
組換えヒトMCP−1(R&D Systems)を、以前に公開された方法(Jayら、FASEB Jour.、(2008年))を使用して、生分解性アルギネート微粒子中に封入した。微粒子を、50ug/ulの濃度で、P(CL/LA)シーラント中に直接混合することによって、骨格中に組み込んだ。次いで、上述したものと同様の方法を使用して骨格を構築した。骨格上および骨格の外のMCP−1微粒子のサイズおよび形状分布は、XL−30走査型電子顕微鏡(FEICompany)を使用して画像化した。これらの骨格からのMCP−1の放出プロファイルを、ELISA(R&D Systems)によって測定した。MCP−1を溶出する骨格(n=5)を、M199培地1ml中にそれぞれ浸漬し、37℃の軌道振盪機内でインキュベートした。1、2、4、8、12、24、48、72、96、120、144、および168時間で、培地を収集し、新鮮なM199培地1mlと交換した。培地試料は、分析するまで−20℃で貯蔵した。]
[0097] 結果:
単独で投与したMCP−1が、早期単球動員を有効に誘導し、播種していない骨格についての結果を改善することができたかどうかを調べるために、hBMCを播種することなく、骨格から直接MCP−1を送達することができるシステムを作製した。hBMCの不均一な集団とサイズを類似させた、直径1〜20μmの生分解性アルギネート微粒子中に、組換えヒトMCP−1を封入した。次いでこの微粒子を骨格中に埋め込むことによって、播種したhBMCのMCP−1放出機能を模倣した。埋め込んだ微粒子は、72時間の過程にわたって骨格から約200ngのMCP−1を放出し、これは、播種したhBMCの大部分が保持される期間と同様であった(図6)。] 図6
[0098] MCP−1微粒子を埋め込んだ播種していない骨格は、SCID/bgマウス中にIVC間置移植片として移植した場合、hBMC播種骨格と同様に発達し、機能した。1週目での宿主単球動員は、hBMCを播種した骨格(n=6;120±17個の単球/hpf;p<0.01)、および播種していない骨格(n=4;60±12個の単球/hpf;p<0.01)の両方と比較して、MCP−1を溶出する骨格において有意に増大した(n=3;201±62個の単球/hpf)(図7A)。さらに、発達して10週間後で、すべてのMCP−1を溶出する骨格(n=5)は開存しており、管腔の内径は、hBMC播種骨格(n=7)とに匹敵していた(0.53±0.08mm対0.63±0.19mm;p=0.30)(図7B)。播種した骨格およびMCP−1を溶出する能力を有する骨格の両方は、播種していない骨格より開存率が良好であった。MCP−1微粒子は、内部の管腔構造を維持した一方で、MCP−1を溶出する骨格の壁厚(0.31±0.02mm)は、hBMC播種骨格(0.20±0.03mm;p<0.001)より、播種していない骨格(0.35±0.10mm;p=0.48)に類似していた(図7C)。] 図7A 図7B 図7C
[0099] (実施例6)
G−CSF投与は、TEVGにおける早期の外向きのリモデリングを促進する
材料および方法:
材料および方法は、以下に記載したものを除いて実施例1〜5に記載した通りであった。]
[0100] G−CSF投与
播種していない骨格をIVC間置移植片として移植し、8週間の時間過程にわたって超音波を用いて連続的にモニターした。実験群にG−CSF(10μg/kg)を術前投与する一方で、対照群にはしなかった。]
[0101] 超音波調査
超音波検査を利用することによって、組織操作移植片の機能的および形態的変化を連続的に調査した。1.5%のイソフルランを用いてマウスを麻酔した。記載した時間過程にわたって、Vevo770(Visualsonics)を使用して、移植片の長軸断面で、内径および壁厚を連続的に測定する。測定値は、移植片の最も狭い部分および最も広い部分での特定の測定に加えて、移植片の近位、中位、および遠位の3分の1での測定を含めた3つの位置で得た。すべての測定は、マウス血管の超音波検査における専門技術を有する一人のオペレーターによって実施され、3通り繰り返すことによって、オペレーターに依存する変動を最小限にした。]
[0102] 統計分析
すべてのデータを平均値±標準誤差として表す。統計的有意は、Windows(登録商標)用MS ExcelおよびSPSS11.5で計算した。すべての多群分析において、群同士間の全体的な比較は、一元配置ANOVAを用いて実施した。有意差が見出された場合、チューキー法を使用して対での比較を実施し、複数の対での分析を補正した。厳密に対での比較をするために、独立したスチューデントのt検定を実施した。0.05未満の確率値は、有意であるとみなした。]
[0103] 結果:
G−CSFの術前投与は、外向きのリモデリングを促進する。連続の超音波モニタリングは、移植後2週間と8週間の間のすべての時点で、有意により広い管腔を実証した。これらの知見は、4週間目で最も顕著であり、このときG−CSF群の内径は、0.84mm±0.06mmと測定され、対照群では、0.68mm±0.05mmと測定された(p<0.05)(図8Aおよび8B)。] 図8A
[0104] 他に定義されていない限り、本明細書で使用するすべての技術的および科学的用語は、本開示した発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に引用される刊行物および、これらの刊行物が引用する材料は、参照により具体的に組み込まれている。]
実施例

[0105] 当業者は、日常の実験にすぎない実験を使用して、本明細書に記載した本発明の特定の実施形態に対する多くの均等物を認識することになり、または確認することができることになる。そのような均等物は、以下の特許請求の範囲によって包含されることが意図されている。]
权利要求:

請求項1
ポリマー血管移植片の開存性を増大させるための方法であって、有効量のサイトカインまたはケモカインを投与することによって、前記移植片への宿主細胞の動員を促進する工程を含む方法。
請求項2
前記血管移植片が生分解性ポリマーまたは生体吸収性ポリマーを含む、請求項1に記載の方法。
請求項3
前記生分解性ポリマーまたは生体吸収性ポリマーが、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリアンヒドリド、ポリ(オルト)エステル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ(酪酸(buticacid))、ポリ(吉草酸)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(ヒドロキシアルカノエート)、およびポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、またはこれらの組合せ、ブレンド、もしくはコポリマーからなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
請求項4
前記生分解性ポリマーまたは生体吸収性ポリマーが、繊維ベースのメッシュに形成される、請求項2に記載の方法。
請求項5
前記繊維ベースのメッシュが不織のメッシュである、請求項4に記載の方法。
請求項6
前記血管移植片がポリマーシーラントをさらに含む、請求項5に記載の方法。
請求項7
前記ポリマーシーラントが、ε−カプロラクトンとL−ラクチドのコポリマーを含む、請求項6に記載の方法。
請求項8
前記サイトカインまたはケモカインが、MCP−1、IL−1β、およびG−CSFからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
請求項9
前記サイトカインまたはケモカインがMCP−1である、請求項8に記載の方法。
請求項10
前記サイトカインまたはケモカインが、前記血管移植片中または前記血管移植片上に組み込まれる、請求項1に記載の方法。
請求項11
サイトカインまたはケモカインを含まないポリマー血管移植片と比べて、ポリマー血管移植片への宿主細胞の動員を増大させるための、有効量の前記サイトカインまたはケモカインを含むポリマー血管移植片または導管。
請求項12
生分解性ポリマーまたは生体吸収性ポリマーを含む、請求項11に記載のポリマー血管移植片または導管。
請求項13
前記生分解性ポリマーまたは生体吸収性ポリマーが、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリアンヒドリド、ポリ(オルト)エステル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ(酪酸(buticacid))、ポリ(吉草酸)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(ヒドロキシアルカノエート)、およびポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、またはこれらの組合せ、ブレンド、もしくはコポリマーからなる群から選択される、請求項12に記載のポリマー血管移植片または導管。
請求項14
前記生分解性ポリマーまたは生体吸収性ポリマーが、繊維ベースのメッシュに形成される、請求項13に記載のポリマー血管移植片または導管。
請求項15
前記繊維ベースのメッシュが不織のメッシュである、請求項14記載のポリマー血管移植片または導管。
請求項16
前記血管移植片がポリマーシーラントをさらに含む、請求項15に記載のポリマー血管移植片または導管。
請求項17
前記ポリマーシーラントが、ε−カプロラクトンとL−ラクチドのコポリマーを含む、請求項16に記載のポリマー血管移植片または導管。
請求項18
前記サイトカインまたはケモカインが、MCP−1、IL−1β、およびG−CSFからなる群から選択される、請求項11に記載のポリマー血管移植片または導管。
請求項19
前記サイトカインまたはケモカインがMCP−1である、請求項18に記載のポリマー血管移植片または導管。
請求項20
抗血栓薬、抗増殖剤(anti−proliferativeagents)、抗炎症剤、抗増殖剤(antiproliferativeagents)、麻酔剤、抗凝固剤、コレステロール低下薬、血管拡張剤、および内因性血管作動性(vascoactive)機構を妨害する薬剤からなる群から選択される活性薬剤をさらに含む、請求項11に記載のポリマー血管移植片または導管。
請求項21
前記サイトカインまたはケモカインが、前記血管移植片または導管全体にわたって分散される、請求項11に記載のポリマー血管移植片または導管。
請求項22
前記サイトカインまたはケモカインが、ミクロスフェア、ナノスフェア、微粒子、および/またはマイクロカプセルの形態で封入され、これらが前記ポリマー血管移植片または導管中に播種される、請求項21に記載のポリマー血管移植片または導管。
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